くもんには「くもんのすいせん図書」https://www.kumon.ne.jp/dokusho/suisen/というのがありますので、お子様の読書についてお困りの時にはぜひ参考にしてみてください。
読書週間のあいだ、わたくしのお気に入りの本を1日1冊紹介していきたいと思います。お子様の読書とはあまりからまない本が多いと思いますが、このブログはお子様よりは親御さんが見られていると思われますので、ちょっと脱線もしてみようと思います。
いっときスキマ植物とか雑草がブームになったことがありました。数ある雑草本の中で、この『雑草と楽しむ庭づくり』ほど読んでいて楽しく、雑草ワールドに引き込まれるものはありません。

作者は農薬を使わない植木屋である「ひきちガーデンサービス」の曳地トシさんと曳地義治さん。なんというか文章が雑草愛に満ち満ちているんです。表紙は地味なんですが、他の雑草本と明らかに一味違っています。ためしに「ギシギシ」の項目を読んでみましょう。思わずニンマリしてしまいます。
最盛期のギシギシの葉は、本当につややかな緑で、葉の形もシャープでりっぱ。しかもギシギシはたくさんの虫たちの食卓で、いろいろな虫の観察もできる、虫好きにはたまらない雑草なのだ。葉を吸汁するアブラムシはもちろんのこと、それを食べるナミテントウやヒラタアブの幼虫、クサカゲロウの幼虫もいる。さらには葉を食べるハグロハバチの幼虫、コガタルリハムシなどもいるし、それをねらう徘徊性のクモやサシガメの仲間が来ることもある。最近数が減っているように思うベニシジミの幼虫はギシギシやスイバを食べ、成虫はわが家のニラの花の蜜を吸う。たった一本のギシギシがあるだけで、ギシギシを中心に生態系がぐるぐる回っている。ついついあれこれ見ているうちに、ギシギシワールドにはまってしまい、時がたつの忘れてしまう。
『雑草と楽しむ庭づくり』P60より
雑草をただ除去の対象として扱うのとは正反対に、豊かな生態系を作り出すものとして雑草を捉え、上手に付き合おうとする視点は重要だと思います。「彼らには共存関係がある」のですから。
この本の副題は「オーガニック・ガーデン・ハンドブック」です。第3章に当たる「基礎知識編」がその白眉と言えるでしょう。とくに農業に関わる記述にどきっとさせられることがありました。畑で野菜を作る時、まず苦土石灰をまき、堆肥を漉き込み、そして化成肥料を施すように教わります。それで面白いくらいに野菜はなってくれますから、収穫のためには最良の方法として定着しているわけです。しかし化学肥料に関する次の記述はそんな常識に強烈なパンチを食らわせます。
私たちは、肥沃な土地が素晴らしいと思っているが、それは人間の側から見た言い分であって、多様性から見れば、やせた土地が好きな植物もいる。自然界では、やせた土地も必要とされているのだ。つまり、化学肥料を使うことで土地が富栄養化してしまい、それによって衰退せざるをえない植物もあるということだ。化学肥料は植物に直接的に栄養を与えるが、含まれている硫酸などの化合物が土壌微生物にダメージを与える。だから、ミミズなどは化学肥料を使っているところにはあまりいないはずだ。
『雑草と楽しむ庭づくり』P174より
土について私たちはもっと考えるべきなのですね。
