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読書週間(2) 『文学者の見た世紀の祭典 東京オリンピック』

彩子先生

いつもブログを読んでくださりありがとうございます。読書週間に絡めて、わたくしのお気に入りの本を紹介しています。

残念ながら2020東京オリンピックは幻と消えてしまいました。世界規模の祭典を子どもたちと体験してみたかったです。

1964年の東京オリンピックが開かれたとき私はまだ産まれていません。
それでもいかに日本国民が熱狂したか知ってはいます。
それは小さい頃に観た市川崑監督の映画が脳裡に焼き付いているからかもしれません。
古い映画を見てもオリンピックは出て来たし、
小説を読んでもオリンピックは顔を出しました。
いろいろな見方があるでしょうが、敗戦後の日本が20年足らずででオリンピックを開催したという事実は、とてつもないことだったと思います。


今日紹介する本は『東京オリンピック 文学者が見た世紀の祭典』です。
中野好夫・尾崎一雄・石川達三・小田実・堀口大學・亀井勝一郎・松本清張・石原慎太郎・武田泰淳・三島由紀夫・北杜夫・水上勉・井上靖・草野心平・檀一雄・村松剛・遠藤周作・大江健三郎・小林秀雄・佐藤春夫・大岡昇平・・・といった錚々たる文人たちが東京オリンピックをどのように見、書いたか。非常に興味深いルポルタージュ集となっています。

全体は大きく4つのテーマに分かれています。
一、開会式
二、競技
三、閉会式
四、随想

詩人や小説家が、目の前で繰り広げられる祭典をどのようにとらえるか、作品世界からは決して窺い知れない側面を発見するのが、このルポ集を読む楽しみのひとつになるでしょう。あの小林秀雄がテレビ中継に夢中になっていたり、三島由紀夫が「何ものかから癒された」と解放感を吐露し、大江健三郎はロイヤルボックスをしきりに気にしているし、小田実はメダルに縁のない国と接触する・・・。面白い、右であれ左であれ、各自の根っこはものの見方にきちんと反映されていて、誰ひとり期待を裏切りません。

2020東京オリンピックが開催されたとき、現代の文化人たちは果たしてこれほどまでに熱狂したでしょうか? また私たちも? 当時の人たちがちょっと羨ましくなる本でした。

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