わが家の4歳児がジグソーパズルで遊んでいます。アナ雪の60ピースほどのパズルを完成させた瞬間、全てをひっくり返してまたいちから並べ始めます。「できたー」という達成感にひたるなんてことはありません。いさぎよくひっくり返します。親からすると、えー! なんてことを! と思うわけですが、このこわすことへの潔さというのは、子どもだけがもつ特権で、私たち大人が無くしてしまったものなのかもしれません。実は「ものをつくる」という取り組みの際にはこの潔さが重要なのです。
本日紹介する一冊は『ティンカリングをはじめよう』です。

ティンカリングという言葉を私はこの本で初めて知りました。前書きには次のように書かれています。
「ティンカリング」とは家財道具を修理してまわった流しの修理屋(ティンカー)を語源に持つ言葉で、さまざまな素材や道具、機械を「いじくりまわす」こと。デザインセンスや問題解決の力を高めることができる手法として近年注目されています。
『ティンカリングをはじめよう』まえがきより
空き箱や段ボールを切った貼ったしてロボットをつくるというのは立派なティンカリングです。手芸と電子工作を組み合わせてキラキラ点滅するフエルトの帽子を作ればこれもティンカリングです。ピタゴラ装置は日用品の集積で作られています。こんなものを作りたいなと考え、ものを分解したり組み立てたり、組み合わせたりして、いじくり回せば、私たちは立派なティンカーです。
『ティンカリングをはじめよう』は世界中から集められたティンカリングの素敵な作品集です。完成されたものを見ながら、創作過程を想像したり、その発想力に感嘆したりして、こちら側の創作意欲がかき立てられます。ワクワクしますよ。
学校現場で工作や技術・家庭の授業はもっと本格的に位置付けられても良いのではないでしょうか。指先だけではなく手を動かす行為が未来を変えると私は本気で信じています。
