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読書週間(6) 矢口高雄の『ボクの先生は山と川』

子どもの頃にどんな漫画を読んでいたかと聞かれたら、私は真っ先に「あさりちゃん」と答えますが、夫の場合「釣りキチ三平」と答えます。漫画やアニメに関しては全く共通の話題がありません。聞いたこともない漫画やアニメの名前が出てきます。「てんとう虫の歌」?「サーキットの狼」?「侍ジャイアンツ」? もっとも「てんとう虫の歌」の主題歌はYoutubeで聴きましたが、とても素敵でした。

ここからは夫の話を再録します。
「『釣りキチ三平』は小学校で卒業したんだけど、高校生の時にまた読みはじめたんだ。というのも美術の先生がある時、矢口高雄のデッサン力がすごいって語り出したんだよね。矢口高雄って『釣りキチ三平』の作者ね。美術の先生が漫画家の絵を褒めることもあるんだと思って、絵を見るために『釣りキチ三平』を読み直したんだ。美術の先生は自然の描写を褒めてたね。確かにすごいんだよね。僕は人間の描き方がすごいと思ったね。モンキーパンチもそうだけど、人間の描き方があり得ないくらいに誇張されていて、足なんか棒っきれみたいに細かったり体もゴムみたいにしなり切っていたりするんだけど、とても躍動的で不思議なくらいに気持ちいい。画力ってこれだなって理解した気がしたよ。で、大人になってひょんなことから矢口高雄の「カジカの夜突き」というエッセーを読む機会があった。その時、何か封印されていたものが解き放たれたような気分になって、僕は矢口高雄の作品をあさりだした。漫画も随筆もね。「カジカの夜突き」は『ボクの先生は山と川』に収録されてる。昆虫少年であり釣り少年であり漫画少年だった矢口高雄の漫画と随筆は、今失われつつある自然やたくましさや身体感覚のようなものを意識させてくれる本当に素晴らしい本なんだ。ところで『ボクの学校は山と川』には「百日咳」という漫画が収録されているんだけど僕はこれを以前に一度読んだことがあるんだよね。まちがいない。でも、いつどうして読むことができたのか、さっぱり思い出せないんだ。どこで読んだんだろう?」

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