彩子先生
10月27日から11月9日は読書週間です。わが家の本棚からお気に入りの本を紹介しています。全14回の予定です。どうぞ読んで下さい!
引っ越してみて分かったことのひとつは、捨てることは簡単だが、捨てずに活かすことは甚だ難しいということです。どんな小さなものにも、何かの形で活かされる道があったのではないかと考えてしまうと、簡単には捨てられなくなってしまいます。もちろんこの考え方は、家の中が片付かない原因となっているわけです。それは分かっているのです。でも、断捨離は特定の領域と場面で有効なのであって、「もの」との付き合いはそんなに簡単に割り切れるものではありません。
さて、本屋さんで見かけて一目惚れしてしまったのが、『丸林さんちの机の上の小さな家具帖』です。

この本はいわゆるDIYに関する本です。造形作家とデザイナーの夫婦が手がけた、アンティークスタイルの木工作品が多数収録されています。同類の本が多数ある中でこの本がひときわ輝いているように見えるのは、木工DIYに多摩美大出身の二人の美的センスが盛り込まれているからではないでしょうか。木工は学校の教科で言えば技術にあたりますが、丸林さんたちは、あくまで美術をやっているのだと思います。
紹介されている作品には、小さな「もの」が巧みに利用されていて、どんなものでも何かの役に立つということを考えさせられます。捨てることによるシンプルさではなく、とことん使い切るなかで洗練されるシンプルさをわたくしは追求したいと思います。
