
本屋さんで見かけることはほとんどないのに、学校や市の図書館には必ずと言ってもよいほど置かれている本があります。画像の本は岩波書店の「算数と理科の本」シリーズ(全30冊)の中の1冊『ぼくとナイフ』です。このシリーズは小学4、5、6年で学ぶ算数と理科の中からテーマを選んで作られています。1980年の3月に発刊されたものです。残念ながら今は売られていません。古本屋で買ったものです。
昔は子どもの筆箱の中にはナイフやカッターが入っていたものでした。休み時間ともなるとゴミ箱を囲んで鉛筆を削るのは当たり前の風景だったものです。うまく削れるものは尊敬を集めます。管理が悪いと錆び付いてしまう肥後守を研いだり油をつけて管理したりして、物の扱い方を学んだものでした。
表紙の少年少女たちが手に握っているのは、自分で作ったナイフです。一本の釘を熱し、金床の上でハンマーで叩き平らにし、砥石で研いで仕上げていきます。おそらくそういう授業を展開していた学校があったのだろうと思います。ナイフの作り方は本書で詳しく紹介されています。
いやあ、それにしても、ナイフを持って嬉々とした表情の子供たち、いいですよね。今から40年前の小6生たちです。
