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読書週間(12) 『一年一組の学級通信 きかんしゃ』

この本は、釧路市立愛国小学校一年一組の担任三上敏夫先生が1975年に父母に配布した学級通信の記録です。学級通信の名前は「きかんしゃ」。4月9日から始まり翌年の4月8日まで、ほぼ毎日発行された234号の学級通信が全て収録されています。第1号にはなぜ「きかんしゃ」という名前にしたかが綴られています。

1975年(昭和50年)の学級通信ですからもちろんガリ版刷りです。もしかするとこのブログを読んでくださっているご父母の中にはガリ版をご存知無い方もいらっしゃるかもしれません。コピー機もなくワープロもなかった時代の話です。輪転機も普及していなかった頃、配布物はガリ版で刷っていました。ロウを塗った原紙をヤスリと呼ばれる金属の板の上に置き鉄筆で文字や絵を書いていきます。鉄筆で引っ掻いたところのロウが削れるので、インクをひたしたローラーで擦ると紙に文字が印刷されるという仕組みです。文字を書く時ガリガリと音がするのでガリ版と呼ばれましたが、正確には謄写版印刷です。

実はわが家にはガリ版印刷機が大小2台あります。使うことはなくなってしまいましたが、もったいないので保存してあります。昔のものって本当に頑丈にできていますね。木製なのに歪みも出ず、使おうと思えばきちんと仕事をしてくれるはずです。

しかし、このガリ版を使って学校の先生がおそらく仕事を終えた後、夜遅くまでかけて、毎日学級通信を書き印刷し続けていたなんて、一体どれだけ大変なことだったか。ものすごく手間と時間のかかるものなのです。とても真似できるものではありません。しかも、読んでいてとても面白い。わが子が学校でどんな様子でいるか、手に取るようにわかるのですから。学級通信を毎日心待ちにしている保護者の顔が浮かんできます。

今や、学級通信を印刷する必要もなくなってしまいました。学校のウェブサイトにブログを設置し書き込んでいけば良いだけです。誤字もすぐに直せるし、文章の順番も簡単に入れ替えられる。絵心がなくたって絵文字も書けちゃう。今の先生たちはその意味で恵まれています。ただ、先生たちの忙しすぎる現状はなんとかしてあげたいですね。学校の先生たちはひどく言われることが多いですが、教育に専念できる環境を準備してあげれば、おそらくすごいパワーを発揮してくれるはずです。だってこのご時世に、あえて教師を仕事に選んだ方たちなんです。

今、小学校などではいわゆる「学級通信」はどんな状況なんでしょうか? 学校によっても担任によっても状況は異なるでしょうが、ぜひ教えていただきたいと思います。

MEMO
この本は1977年に刊行されたもので、私は古本で購入しました。現在は販売されていません。

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