きょうは終戦の日です。今年は戦後74年。夏くらいは戦争のことを考えるようにしたいと思っています。
できることといえば、戦争についてのテレビの特番を見るとか本を読むとかといったことしか思いつきませんが、今年は1冊の本を読んでみたいと思っています。暮しの手帖社の『戦争中の暮しの記録』です。

この本は1969年に刊行されたものですが、戦争の記録、とりわけ庶民の戦争の記録として高い評価を得続けている本です。暮しの手帖社の紹介文を以下引用させていただきます。
一冊まるごとを戦争中の暮しの特集にあてた『暮しの手帖』1世紀96号(1968年夏)を保存版にした書籍です。
暮しの手帖社のウェブサイトより
終戦から22年の歳月が経った1967年、『暮しの手帖』は、戦時下の「庶民の日常の記憶」を集めようと、「戦争中の暮しの記録」の投稿を呼びかけました。高度経済成長に沸く日本において、あの暗く、苦しく、みじめだった戦争の記憶は、もはや思い出したくない、忘れてしまいたい過去のことだったでしょう。ところが、総数1736編という驚くべき数の原稿が寄せられ、当時の編集長の花森安治と編集部員たちは、全身全霊を傾けてこの企画に取り組み、一冊に編み上げました。
市井の人々は、なにを考え、なにを食べ、なにを着て、どんなふうに暮らし、死んでいったか、生きのびたのか。半世紀の時を経て、あの「戦争」を今に伝える、不朽のロングセラーです。
この本の中に「わたしの写した教科書」という小さな投稿があります。戦時中教科書が不足する中で、小学6年生だった清水安子さんは、二つ折りにした半紙に教科書を丸ごと、さし絵までうつしとったのだそうです。清水さんのうつした算数の教科書が写真で紹介されています。もう見つからないそうですが国語の教科書も写したのだそうです。・・・このように文として書けばそれだけのことですが、実際几帳面に写しとられた教科書の写真を見ると、戦時中の雰囲気というものがリアルに伝わってきます。教科書をすべて写し糸で綴じる・・・そんなことが現代において考えられるでしょうか。教科書もデジタル化してタブレットで見られるようにしようとしている現代に!
戦後74年ということは当時6歳だった子も今は80歳なのですね。数年前、法事などで親戚一同が会する機会がありました。そんな時、自然な流れで戦争の話になります。「ちょうど分数のかけ算に入ったところで授業が止まってしまって・・・」「中学1年で生理がきてる女子はほとんどおらんかった、何しろ栄養が足らんやろ・・・」
さすがに出征経験のあるものはいませんでしたが、戦時中に子どもだった叔父叔母たちの経験談は生々しく具体的でどんな本でも読んだことのないような貴重なものでした。庶民の記憶は本当に貴重なものなのです。語り継がなければ消えて無くなってしまいます。
きょうは『戦争中の暮しの記録』を読みながら静かに暮らしたいと思います。